米国市場に上場している中国企業

中国企業というと、中国または香港に上場している企業だと思うのですが、一部の企業は米国市場に上場している企業があります。

何でわざわざ米国で上場するの?

それには理由があるんだよ

なぜ中国の企業なのに中国や香港ではなく、米国市場に上場する企業があるのだろうか?それには米国で上場するメリットがあるんですよね。

目次

米国で上場するメリット

中国の企業がわざわざ米国市場で上場するメリットって何だろう?

中国企業にとって米国市場で上場する事にはいくつかのメリットがあります。

  • 知名度の向上
  • 種類株での上場
  • 資金確保の優位性

知名度の向上

米国は世界最大の経済大国であり、世界最大の金融大国でもあります。ニューヨーク証券取引所は世界最大の証券取引所であり、米国株式は世界の時価総額の60%を占めるほどの規模を誇っており、多くの投資家は米国市場の動向を重要視します。

まだまだ閉鎖的な中国市場で上場するよりも、国際的に解放されており、多くの投資家に取引されている米国市場で上場する事は、国際的な知名度の向上に大きく貢献します。

種類株での上場

株式には通常の株式のほかに、一定の株主や創業者等が一般の株主よりも強い議決権を行使できる株式があります。それらを種類株というのですが、この種類株を認めている証券取引所と認めていない証券取引所があります。

米国の証券取引所は種類株の上場を認めていますが、香港市場や中国市場では認められていませんでした。なので、創業者等に強い議決権を与えたい中国IT企業などは香港市場などを避けて米国市場に上場する事が多かったのです。

中国最大手IT企業の1つであるアリババも当初は香港市場への上場を検討していましたが、種類株での上場がネックとなり、米国市場へ上場する事になりました。

巨大企業であるアリババの上場を逃がした香港証券取引所は、アリババや中国IT企業達が規制の厳しい香港市場(種類株を認めていない)を嫌って、アメリカ市場へ上場していく事に危機感を募らせており、アリババがアメリカ市場に上場した後に、香港証券取引所は種類株の上場を認める方針に転換しました。

これにより、アリババは米国市場に上場していましたが、その後に香港市場へも重複上場する事になりました。

資金確保の優位性

株式を上場するという事は、資金の確保を主な目的として株式を上場することになります。その際に上場する企業は「出来るだけ多くの資金を調達したい」と考えます。

中国市場(中国本土や香港市場)の場合は、中国当局の金融規制などもあり、機関投資家も限られており、海外(中国以外)からの資金を調達するのが難しい環境となっています。

一方で、米国市場は世界に開放されているグローバルな市場であり、あらゆる機関投資家がアクセスすることが可能となっている事から、より多くの資金を集める事が出来ます。

なので、より多くの資金を確保できるという利点を求めて米国市場の上場へと舵を切っていく中国企業があるのです。

ADR(米国預託証券)とは?

米国市場に上場している中国企業はADR(米国預託証券)として米国市場に上場しています。

そもそもADRって何?

今回はADRについて学んでみよう

通常は、その国の株式市場に上場している株式を購入します。同じ国の企業だったらいいのですが、別の国の企業の場合は、色々と制度や規制などで直接購入するのが難しい場合があります。

そんな時にADR(米国預託証券)として、株式に似たようなものを発行して取引をするのです。ADRを購入する事で、実質的にはその企業の株式を購入する事と同じ権利を有する事が出来るようになります。

では、そのADRの仕組みをみてみましょう。

ADRを一言で説明すると、米国以外で設立された企業が発行した株式を裏づけとして米国で発行される有価証券となります。

ADR自体は厳密に言えば株式とは異なるのですが、ADRの裏付けとなる株式から生じる経済的権利の全てを含む有価証券であるために、株式を保有するのとほぼ同じ効果を得ることができます。

Aという企業の株式をB銀行が現地の子会社(B子会社)で買い付けます。B銀行は現地で保管しているA株を裏付けとした預かり証(預託証券)を発行します。預かり証(預託証券)を元に、A社とB銀行は米国市場で上場手続きを行い、ADRとして発行する。

  1. A株を買付
  2. 現地でA株を保管
  3. A株の預かり証発行
  4. 預かり証を米国市場で上場

このような過程を経て、中国企業はADRとして米国市場に上場します。

私達は、米国市場(ニューヨーク市場)の株式を購入できる証券会社で取引をしていれば、米国株式と同じようにADRも購入することが出来るという事になります。

まとめ

このように、中国企業の中には中国本土市場や香港市場ではなく、あえて米国市場に上場をする企業もあります。

特にIT企業は米国市場に上場している企業が多く、そういった企業に投資をしたい場合は米国市場のADRを購入する必要があります。

日本の証券会社では米国株を購入できる証券会社であれば、大抵はADRも購入できるようになっています。

ネット証券や中国株に強い証券会社でなおかつ米国株にも投資が出来る証券会社に口座開設をしておけば、本土市場・香港市場・米国市場の中国株に満遍なく投資する事が出来るようになります。

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