中国株というと、中国で取引されている株式の事をイメージされると思いますが、実は多くの人が投資している中国株は香港市場で取引されている株式が多いです。中国株は、中国本土で取引されている株式もあれば、香港市場で取引されている株式もあり、また米国市場でADR(米国預託証券)として上場している株式もあり、多種多様です。
複雑で分かりにくいね
一つずつ説明していきますね
中国株は大きく分けると本土市場と香港市場の2つに分かれています。まずは、本土市場と香港市場があるという事を理解していただいて、その後に米国市場にも上場しているADR(米国預託証券)を覚えてもらえばいいと思います。
なので、まずは本土市場と香港市場をそれぞれ見ていきましょう。
本土市場
上海市場と深セン市場の2つに分かれています。それぞれの市場には、A株とB株があり、基本的にA株は中国国内の投資家のみに取引が制限されており、B株は海外の投資家にも取引が解放されています。
A株については、上海・香港株相互取引(上海香港ストックコネクト)や深セン・香港相互取引(深セン上海ストックコネクト)の対象銘柄については海外の投資家にも取引が解禁されています。
「本土市場」
上海証券取引所(代表銘柄)
「A株」
上海汽車、貴州茅台酒、宝山鋼鉄、三一重工
「B株」
上海機電、老鳳祥、上海宝信ソフト
深セン証券取引所取引(代表銘柄)
A株
美的集団、雲南白薬、平安銀行
B株
安徽古井貢酒、杭州スチームタービン、招商局港口集団
香港市場
香港証券取引所は、メインボードとGEM市場(新興企業市場)に分かれています。それぞれの市場には、香港株・H株・レッドチップ、その他があります。
香港株は、香港の企業や海外の企業であり、香港市場に上場している企業です。H株は、香港市場に上場している中国企業で中国本土で登記されている企業です。レッドチップは、香港市場に上場している中国資本の企業で、登記先が香港・ケイマン・バミューダなど中国本土以外で登記されている企業となります。その他は、上記の分類に該当しない企業等を纏めてその他として分類しています。
なお、ハンセン指数(香港市場の代表的な銘柄を集めた指数)に採用されている銘柄は、ハンセン銘柄と呼ばれる事もあります。
香港証券取引所(メインボード及びGEM市場)
香港株
HSBC、長江和記、中電控股
H株
ペトロチャイナ、中国移動、中国工商銀行
レッドチップ株
中国光大国際、中国中信、中国蒙牛乳業
その他株
九龍倉集団、恒隆集団、PCCW
本土市場と香港市場の違い
別々にみると、少し複雑な感じがするので、本土市場や香港市場で取引が出来る中国株をまとめてみましょう。
どちらの市場も基本的には、個々の企業の動向・業績と中国政府の動向に左右されるのですが、本土市場は中国政府や中国国内の動向に株価が左右されやすく、香港市場は国際的な景気や経済の動きに連動しやすいといった特徴があります。
中国株でよく取り引きされているのは香港市場に上場する銘柄です。
アリババ、テンセント、中国工商銀行、ペトロチャイナ、BYDといった中国を代表するIT企業や銀行、石油企業、EVメーカーなどは香港市場に上場しており、香港市場は海外の投資家にも開放している事から「中国株=香港市場」と捉えてもよいと思います。
日本の証券会社でも香港市場の銘柄を取扱っている証券会社は多く、有名どころの証券会社はほとんどが香港市場に上場している中国株の取り扱いをしています。
一方で、本土市場は基本的に中国国内の投資家に限定されていますが、ストックコネクト制度に該当する一部の銘柄などは日本の証券会社でも購入することが出来ます。ただ、本土市場の銘柄を取扱っている日本の証券会社はまだ少なく、中国株に強い証券会社で取り扱いがある程度です。
本土株でしか上場していない中国の大企業や有名企業などもあり、中国のNo1自動車メーカーの上海汽車、アルコール飲料最大手の貴州茅台酒、粗鋼生産で世界2位の宝山鉄鋼など中国を代表する巨大企業が本土市場には上場しています。
ストックコネクト制度
もともと本土市場のA株は中国国内の投資家のみにしか開放しておらず、海外の投資家はA株に投資をする事が出来ませんでした。
一方で、中国国内の投資家は海外の市場に投資をする事は制限されており、1国2制度の下で中国国外として認識されている香港市場への投資を中国人投資家は出来ませんでした。
中国国内投資家 → 海外投資禁止
海外投資家 → 中国国内投資禁止
このようになっており、基本的に本土市場は中国国内の投資家の市場、香港市場は中国国外(海外)の投資家の市場というように棲み分けをされていました。
中国は共産主義であり、金融資本の制限や資金管理などを厳格に行っていた為、外資からの資金流入や国内資金の海外流出を制限していました。
ただ、WTO加盟により、中国も徐々に対外開放を進めており、金融開放も段階的に進めていく事になりました。その一環として、中国国内の投資家が海外(主に香港市場)に投資が出来るように、また海外の投資家が本土市場に投資が出来るように制度改革を行っています。
その一つが、ストックコネクト制度です。
これにより、中国本土の投資家が香港市場へ投資が出来るようになり、海外の投資家が中国本土へ投資が出来るようになりました。
まとめ
中国株には、本土市場と香港市場とがあり、一般的には私達のような中国からみた外国人投資家は香港市場に上場している中国企業に投資をする事が多いです。
私が投資をしているテンセントやアリババといった企業も香港市場に上場しており、日本の証券会社の多くは香港市場の中国株を購入できるようになっているので香港市場には気軽に投資をする事が出来ます。
一方で、本土市場はストックコネクト制度を利用して投資が出来るようになっていますが、投資できる範囲は限られており、日本の証券会社でも本土株(A株)に投資が出来る証券会社も少ないです。
本土市場にしか上場していない企業もあり、そういった中国特有の企業に投資をしたい場合は、本土市場に強くて本土市場に直接投資ができる証券会社に口座を開設した方がいいです。
また、本土市場や香港市場以外にも、米国市場に上場している中国企業もあります。米国市場に上場している中国企業に投資をする場合は、NY市場などに上場しているADRを購入する事になります。
次回の記事では、米国市場に上場している中国企業へ投資をするにはどうしたらいいのかをご説明したいと思います。
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