他国とは違うメリットが沢山ある中国ですが、一方で中国ならではのデメリットもあります。これらのデメリットは中国株に悪影響を及ぼす事になります。
どんなデメリットがあるのかな?
順番にみていきましょうか
中国株に投資するデメリットはこのようなものがあります。
数字の正当性が不安定
為替リスク
政治的な要因
経済成長予測の信頼性
では、順番にみていきましょう。
数字の正当性が不安定
中国では国家主導で物事を進める事が出来るので、それがメリットとして機能する反面、国家の都合のいいように公表する事も可能であり、それをチェックする機能も少ないです。
定期的に経済指標や経済データなどが発表されていますが、それが実際のデータと一致するかどうかは未知数です。国家の都合よいデータを発表している事もありえるので、実際の公式発表通りの経済指標になっているかについては疑問の余地が残る状態となっています。
また、過去にも各企業が発表する決算内容に粉飾決算をしている事が若干ですがありました。粉飾決算を行った企業は当然ながら上場廃止になります。内部告発などの自浄作用が上手く働きにくい環境になると不正が起こり得る可能性が出てきてしまいます。
日本や米国などと比べると、数字の信憑性はどうしても一段階ほど落ちる事になります。
為替リスク
外国株に投資する際には、どうしても発生してしまうのが為替リスクです。
日本株に投資をしている場合は、円で投資するので株価だけが投資収益を左右する要件になりますが、外国株の場合は為替差益によっても収益が変動します。
株価が全く変わらなくても円安になれば為替差益で利益が出るし、円高になれば為替差損で損失が出ます。
中国株の場合は、香港市場で取引すると香港ドルでの取引になるので、円と香港ドルの為替レート変動によって損益が左右されます。米国市場に上場しているADRで中国株を購入している場合は、円と米ドルの為替レート変動によって損益が左右されます。
企業の業績がよくて株価が上昇していても、株価の上昇以上に為替レートの変動があって円安に振れていると株価が上がっているのに損失が出ているという状態になる事もあります。
このあたりの為替リスクは外国株に投資する際には納得しておかないといけないリスクの1つとなります。
経済成長予測の信頼性
中国経済は長期的には今後も成長していくと予測されています。
しかしながらあくまでも予測に過ぎず、中国が今後も経済成長を続けていく事が出来るとは限りません。
かつては、日本も長期的に高成長を続けていくと予測されていました。バブル経済の絶頂期には世界の時価総額の上位の大半を日本企業が独占している時期もあり、日本経済や日本の高度な技術は当面のあいだ世界経済を支配すると言われていました。
ところがバブルの崩壊と共に日本の経済成長も止まってしまい、世界の最先端を走っていた半導体などの産業も廃れていく事になっていきます。
多くの経済学者の予測では日本の高度経済成長が長く続くと言われていましたが、実際には長くは続きませんでした。
中国も高成長が今後もしばらく続くと言われていますが、それが本当に実現するかどうかは未知数です。
中国は一人っ子政策の影響により、若年層の人口が少なくなっており、高齢者の人口が増えているという人口の逆転現象が起きています。今後は日本以上のスピードで少子高齢化が進むと言われており、そうなると日本同様に経済の失速が起こる可能性があります。
それを防ぐために一人っ子政策を廃止して、多くの子供を持つことを認める方向性に舵を切りましたが、今のところは中国当局が思っていたほどの効果は上がっていないようです。
基本的には、今後も中国の成長は続いていくと予測されていますが、その予測が音を立てて崩れていく可能性も否定できません。
政治的な要因
中国株における1番のリスクは、この政治的な要因だと思います。
中国は国家の権限が強い国です。個人の権利や企業の権利よりも国家の権利や意見が優先されやすいです。それにより、企業の運営に制限や規制を掛ける事もあります。
過去には、株式市場に上場している通信企業のトップ(社長)を相互に移動させるという人事を政府主導で行った事もあります。
日本で例えるならば、NTTとソフトバンクとKDDI(au)の社長を政府の方針で入れ替えるといった感じです。資本主義社会の常識ではこんな無理やりな人事は有り得ないですよね。
政府の方針によって、時には企業の存続にも関わる決定を即座に打ち出す事もあります。
2021年には、学習塾などを運営している全ての教育系企業に対して、営利目的による学習塾の運営を禁止する通達を出しました。これにより、米国市場に上場していた中国の教育系企業などは軒並み大暴落を起こし、1日で50%以上も下落した企業もありました。
近年では、インターネット企業に対して規制の強化に乗り出しており、市民の情報を一元的に管理できる巨大IT企業などは強い規制の対象となっています。
特に、政府の金融政策を批判したアリババなどは目の敵にされていた時期もあり、アリババが行っていた事業に対して厳しく規制を掛ける事によってアリババの収益性が低下しており、今までのような拡大路線を転換する様になっています。
政府による企業への規制や制限の強化は、企業の成長性を損なう恐れがあります。
また、国内の政治的な要因による企業の成長性の阻害だけでなく、対外的な政治的要因によっても企業の成長性が損なわれる事もあります。
近年では、米中の貿易摩擦・経済摩擦・先端技術摩擦などが起こっており、米中の関係は悪化しています。
これにより、米国から半導体やIT機器などの最先端の部品などの供給(輸入)が制限されるようになったり、関税を引き上げて中国製品の輸出を制限するような動きも出ています。
中国の巨大IT企業だったファーウェイは、米国からの強い規制の対象となり、ファーウェイは海外からの部品の供給を全面的にストップさせられました。これによりファーウェイは最先端の部品の供給がされなくなるだけでなく、グーグルなどのOSの使用も禁止されたことによって、スマホ事業などは全面的に立ち行かなくなりました。
世界第2位のスマホ販売台数を誇っていたファーウェイは、この規制によりスマホ販売台数は急速の減少していき、厳しい状況に追い込まれました。
グーグルのOSを使えなくなったファーウェイは独自OSの開発に着手し、スマホに搭載するOSをファーウェイ独自のOSに切り替える事になりました。
このように、中国と米国は今後も政治的・経済的に衝突する事があると思われます。それにより、企業の収益等に影響を及ぼす事もあるでしょう。
それと、中国には台湾問題という非常に大きな政治的な問題もあります。
現在、中国と台湾は非常に微妙な状況にあります。中国は「台湾は中国である」と主張しており、台湾は「台湾は独立した国家である」と主張しています。
今のところは、それぞれがお互いに必要以上に相手を挑発しないようにしており、大きな問題にまでは発展していませんが、何かのきっかけがあればお互いが強く争う事態にもなりかねません。
特に中国にとっては台湾が独立することは許されない国家的な問題であり、独立への機運が大きく高まれば、場合によっては武力による鎮圧などを行う危険性もあります。
そうなると、中国への国際的な批判は非常に強くなり、国際的な経済制裁などにより中国の経済は大きく傾くことになる可能性があります。
中国株にとって、政治的な要因は非常に大きなリスクであり、他にはない独特のリスクとなります。
まとめ
中国株には様々なリスクが存在します。その中でも政治的な要因によるリスクは企業の業績に大きな影響を与える事になります。
これらのリスクだけを取り上げると中国株は非常に危険なものだというイメージに感じてしまう事もあるかもしれませんが、リスクを考慮しながら慎重に投資をしていく事で対応する事が可能です。
中国は国家の権限が強いゆえに、国家が必要だと判断したシステムなどは国家主導で新しい技術の導入などにも素早く対応できます。ITやAIの普及には個人の人権の配慮が必要な部分があり、欧米などでは社会全体の管理となる個人情報の全体的な集約管理などの全面的な導入には慎重になる部分があります。
こういった分野では国家の権限が強い中国は国家の主導で導入することも可能であり、それがITやAI社会の発展に繋がっていく可能性があり、欧米が社会システムのIT化導入に慎重になっている間に、いち早くシステムを導入した中国はビックデータを活用して、先行者有利の状態を創り出す事が出来ます。
リスクは時としてチャンスにも変わるわけです。
中国株に投資をするという事は、中国特有のリスクが発生します。
それと同時に中国特有のチャンスも発生しており、リスクとリターン(チャンス)を天秤にかけて、投資する事が有利だと判断するのであれば、中国株に投資をしてみるのがいいのではないかと思います。
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