長く投資をしている方であればリーマンショックを体感した人もいると思います。私の投資人生の中でも最悪の状況だったリーマンショック。株式市場だけでなく実体経済も大きく減速しており、倒産や解雇が相次いで行われていた時期ですよね。
リーマンショックと一括りに言われる事が多いのですが、下落はその前の年のサブプライムローン問題の頃から始まっていました。サブプライムローン問題で疲労した経済はその後に持ち直す事ができず、リーマンショックへと突き進みながら金融市場を崩壊させる事となったのです。
近年の株式市場では最大の暴落となったリーマンショック。私はまだまだ投資初心者の頃にこのリーマンショックに出くわしてしまい、荒波に飲み込まれてしまいました。
もちろん、リーマンショックという激しい波に翻弄されてボロボロな結果となりました。
今回は、その時のテンセントの売買についての失敗談です。
テンセントという企業
中国にはテンセントという企業があります。一般的には知名度は高くなく、投資家の中でも中国株をやっている人以外は知らない人が多いのではないかなと思います。
一般的には知名度は高くないのですが、実はテンセントは世界的には有名な大企業なのです。
何をしている会社なのか知らないわ
ではテンセントについてお話しますね
テンセントは、ゲームやSNS、クラウド、動画配信などを行っている中国のIT企業です。売上や利益の規模も桁違いに大きく、2021年の通期決算は売上が5601億1800万元(約10兆円)、純利益が2248億2200万元(約4兆円)となっています。
日本で一番大きな企業であるトヨタの2021年通期決算が、売上約27兆円で純利益約2兆円です。
トヨタとテンセントでは販売している物が違います。車とゲームなので売上の規模は全然違うはず(車は1台数百万円、ゲームは1個数千円)なのに、売上はたったの2.7倍しか変わらない事から、テンセントがいかに多くの利用者に使用されているのかが分かると思います。
利益だけでみると、テンセントはトヨタの2倍の利益を叩き出しているので凄いですよね。4兆円も稼ぐなんて規模がデカいですよね。
企業の実力を測る時価総額でみても、テンセントは世界第10位の4460億ドル(62兆円)ですが、トヨタは世界第39位の2531億ドル(35兆円)となっています。
テンセントは中国を代表する巨大IT企業であり、世界最大のゲーム企業であり、時価総額世界トップのアップルやアマゾン・グーグルなどの米国の巨大IT企業に次ぐ位置にいる世界的な巨大IT企業なのです。
今では世界的な巨大企業なのですが、リーマンショックの頃はまだ中国最大のIT企業ではありましたが、世界的にはまだ成長途上で巨大企業になりつつある手前でした。そんな成長途上のテンセントに投資を開始しようと思ったのです。
暴落時は買い
投資の基本に「暴落時は買い」という事があります。聞いた事がある人も多いのではないでしょうか。
優良企業であれば、個別銘柄の不祥事などではなくて経済全体的な事で株式市場全体が下がっている時は、大きく下がっている時に拾っていく事で後々の大きなリターンにつなげる事ができます。
暴落時は、優良企業も不生産企業もどの企業も同じように暴落していくので、業績がしっかりしていて今後も伸びていく事が想定できるような安定した優良企業であれば大きく下がっている暴落時に買っておけば普段では有り得ないような安値で仕込むことが出来ます。
「暴落時は買い」というのは、株式投資をしている人であれば、多くの人が知っている当然のことだと思います。
もちろん私もこの言葉を知っており、「暴落時はチャンスなんだ」と思い、リーマンショックの際には意気揚々と突っ込んで行きました
大正解だね
はい、でも返り討ちにあいました(^_^;)
なんでだよw
1回目の失敗
テンセントは成長性のある有望な企業だったため、いつも高値(PERが高い)がついている企業でした。いつも高値圏になるテンセントがリーマンショックの頃には大きく下げていました。
リーマンショックで大きく下げてテンセントは、その後もジリジリと下げていました。リーマンブラザーズが倒産した9月15日に倒産したあとも株価が下っており、10月には高値から32%も下落した9.78香港ドルにまで下がっていました。
「暴落時は買い」だと思った私は、テンセントを9.78香港ドルで購入する事にしました。
市場が荒れている時こそ果敢に投資をするべきであり、ここで投資をするから勝てるのだと意気揚々とテンセントに投資をしたのですが、株式市場は更なる不安に覆われていきます。
購入後すぐに株価は急落していき、僅か数日で株価は10%も下落する事になるのです。
暴落している状態で購入しており、「もうここから大きく下がる事はないだろう」と思って購入したにも関わらず、更なる大きな下落に巻き込まれていく事に不安を感じた私は、10%ほど下落をした8.8香港ドルにて損切りする事を決意します。
購入してからわずか4日後には売却しているという狼狽ぶり。
しかも、売った次の日には急上昇していくというオマケつき。
自分の不甲斐なさを噛みしめながら相場をただただ呆然と眺めているだけでした(笑)
2回目の失敗
売却した次の日には急上昇してしまって、あっという間に買値付近にまで戻ってしまいました。
「売らなければ良かったよ」と思っていたのですが、暫くすると再びテンセントの株価は急落をし始めます。あれよあれよという間に私が売却した株価にまで下がってきました。
テンセントは非常に有望だと思っていた企業で、ずっと保有したいと思っていた企業。それが、再び大きく下落しています。前回購入した時よりも10%も下がった位置に来たことで、「もうこれ以上は下がらないのではないかな。ここが底なんじゃないだろうか。」と思ったのです。
「暴落時は買い」だと思った私は、再びテンセントに投資をするのです。今度は、前回売却した時と同じ8.8香港ドルで購入する事になりました。
すでに高値からは38%も下がっていたし、先日にも急落したばかりなので、ここから更に大きく下がる事はないだろうと思っていたのですが、投資の神様は再び私に試練を与えます。
買った途端に急落していくテンセント・・・(;゚Д゚)
今回も購入後わずか数日で再び10%も下がってしまい、あっという間に大きな含み損生活。ガンガン下がっている株式市場では何処まで下がるのか分からない雰囲気が漂い、疑心暗鬼な状況。前回と同じく僅か4日間保有しただけで怖くなって手放してしまいました。
売却すると、いつものパターンで次の日には急騰して大きく反発していきます。そしてあっという間に急上昇してきました。
暴落時に買いは難しい
「暴落時に買い」を実行すると、確かに安い株価で購入する事が出来るかもしれません。
ただ、その過程において急騰と急落を繰り返しており、購入後に急落する事もしばしばあります。そして、それを耐えながら保有を続けないといけないという過酷な試練が待っています。
暴落時に安いからと思って買っているのに、買った途端に更なる暴落に巻き込まれる事があります。
購入した途端に大きな含み益になっていきます。そうなると保有するのが怖くなってきて、狼狽してあっという間に売却してしまうのです。
「暴落時に買う」という事はとても難しいです。
初心者の頃にこれをやると、嵐のような激しい波を繰り返す株式市場に飲み込まれて狼狽してしまうと思います。
「暴落時は買い」という言葉に惑わされて、儲けようと思って、慌てて買わなくても大丈夫だと思います。ある程度、株式市場が落ち着いてきてから投資を再開しても遅くはないです。
「休むも相場」という投資の格言があるように、難しい相場にあえて挑む必要はないです。
ゆっくりと次のチャンスを待っていればいいのです。
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